ご参加のお奨め

洋上研修基調講演

「洋上研修で何を学ぶか」

kirimura s 
団長 桐村 晋次
 氏
 

洋上研修の開催に際して「洋上研修で何を学ぶか」というテーマでお話させて頂きます。この研修期間は9日間で、皆さんは1年の四季を体験することが出来ます。冬の日本を出発して、ロサンゼルスで春から初夏、メキシコで盛夏、帰路アメリカで秋、日本に帰国して真冬になります。

第1回目の洋上研修

さて、第1回目の洋上研修は、フィリピンのマニラに向けて出しました。マニラまでは5日間かかりました。男性のみ5日間だとどんなことが起こるか。3日目ぐらいから喧嘩が始まります。殴り合いはしません。大激論が始まって行きます。男所帯に慣れていない中で、やり玉に挙げられる班長が出て来ました。「お前のやり方がおかしい」皆、企業から選ばれたリーダーでまた考えも違います。

日本がサラリーマン社会になったのは1960年です。それまでは、自営業の国でした。定年が無い。いつまでも仕事がある。そして、自分の能力に応じて仕事をする。サラリーマン社会は能力に応じての社会ではない。決められた分野はきちんとやらなければならない。だから力が余っている人は欲求不満になるし、足りない人はノイローゼになってしまう。最初から分業社会に入るものだから自分で仕事を選べることは出来ない。 

例えば、八百屋だったらばどうか。主人は、この野菜はどこから入れるか、この果物はどこから入れるか、自動販売機を置くのか、お客が来たならば廻って歩く道を作って、最後の所に、おつりで買えるちょっとしたものを置くと売り上げが良くなります。雇う人の給料を決めなければならないし、雇う方法も決めなければいけない。サラリーマンは、入ったならばピッタとその仕事に就いてしまいます。

日本企業の特徴

日本の高度成長を分析したのは、アメリカのアベグランと言う学者で、日本の特徴として、終身雇用と年功制、そして企業別労使関係を挙げています。アメリカやヨーロッパの組合は産業別です。だからアメリカでは全米のトラック業界がストライキすれば、すべて停まってしまいます。日本は個別なので、全国一斉はあり得ません。この3つで今日までやって来ました。これが職場への忠誠心を生み、そして、教育も終身で行いました。一生懸命皆やって伸びて行ったから、終身雇用が日本の力となりました。そして日本人は殆ど能力の差が無いということです。

私は下関の出身です。高杉晋作が挙兵した地です。高杉の生まれ育った街は城下町の萩で管理の厳しい街ですが、下関は完全な開放都市となっていました。何故、下関で革命が起こったか。坂本竜馬も晩年、下関に住んでいました。遠い萩からは目が届かない。

先に日本遺産となった朝鮮通信使。何年か一度、朝鮮から1000人のお使いが来る交流が当時ありました。その方々が10日間、下関に滞在する。だから中国とかアジアの情報は皆入って来ます。それからオランダが江戸に行く時も、下関に滞在します。町の人と一緒に交流し、ヨーロッパの話が入って来ます。国内は北回り船と言うものがあり、下関は世界の情報が集まっていました。もちろん、幕府にも情報が集まっていましたが、幕府の言う通りやっていたならば、日本は占領されてしまうと当時、一部の人達は考えました。

日本が第二次世界大戦に負けた時、日本を4分割する案が出ました。アメリカ、ロシア、中国、イギリスの4つの国で分ける計画です。もし、これが実現されていたならば、悲劇ですね。その時、幸いにして、共産主義が延びてきて来るのが見えて来たので、アメリカはこれは危ないとみて、樺太、千島付近は分割されましたが、それ以外はアメリカが自分の所で護るということになったので、今日、分割することはなくなりました。 

不幸にして韓国は2つに分かれました。ドイツも2つに分かれました。韓国は、北と南に親戚、親兄弟がいます。よって南の国民は北に制裁を科すことは、本当は望んでいません

何事にも予め事前に準備を

ところで、今回ご参加の皆案は、この研修を受けるにあたり、事前に調べ準備して来ましたか。準備がものすごく大事です。皆さんの所に、私がインタビューを受けた記事をお配りしていますが、何故、それを配ったかと言うと、ある、フリーライターと言う職業があります。インタビューをして記事を書いて、それを雑誌に売って何ぼの世界です。皆さんのように、給料をもらえるものではない。だから、彼は書き続けなければいけない。大変に良く出来またものなので、どうやって訓練するのですかと聞いたところ、先生に会う前に6割書けていないとちゃんとした記事は書けないと先輩に教えられました、と言っていました。読み込んできている。事前の準備でほとんどが決まります。

ところが皆さん方の中には、集まると、資料を配って、講師が説明してくれるだろう、何も用意しないで来た人もいるのではないですか。皆さん自身が大損です。ところがそういう人が増えて来た。なんでもやってくれる世の中になってなってしまいました。

合衆国の意味を理解する

さっきトランプ大統領の7ヶ国禁止令が出たと言いました。昨年、ちょうどこの時間に各班に課題を割り当てました。アメリカ合衆国1776年に独立しました。ひとつの国を作っていくところから始まりました。アメリカは合衆国です。これから行くロサンゼルスは白人比率が非常に少ないところです。街を歩けば分かりますが、半分以下です。

2050年にアメリカの白人比率は半分割ると言われています。合衆国であるアメリカは大統領が7ヶ国禁止令を出しても州の司法長官がそれは憲法違反であると一斉に手を上げました。だから、トランプ大統領の言うとおりにやらないから、今でも自由に出入り出来ます。出入りするのは厳格にはなりました。しかし、出入りは出来る。合衆国は法律が皆違うのです。習慣が皆違うのです。日本のビジネスマンでアメリカの刑務所にたくさんの人が入っています。日本の独占禁止法では大丈夫と思っていたものが、向こう(アメリカ)に行ったらばアウトです。車が出来るときに、他メーカー一緒に作る。一緒に作って中の居住性を高める。一緒に作ると注文も来ます。アメリカは一緒に作るのはいい、但し、スペックを開放し、一番安くなるところを買うべきである。という考え方です。日本は一緒に作ったのだから、普通はそこに発注します。アメリカではそれがアウトです。捕まりました。国内では全く問題ないことが、アメリカでは引っかかる。それも、この州で引っかかるが、別の州では引っかからない。これが合衆国です。

そういうことが分からないといけないということが、この研修の狙いです。皆さんの所には情報はたくさん入って来ています。入って来ているのに、考えようとしない。

スペインからメキシコが出来で、その連中がロサンゼルスを作ったのであったわけで、いまだ白人比率は半分である。

皆さんは今回、船でカタリナ島を寄って、メキシコ・エンセナダに入りますが、何もなくスーと入国出来ます。メキシコに日本の企業は970社あります。メキシコで部品を作って、アメリカに入れて組み立てを行って、アメリカで売って行きます。業種によって、ものすごく考え方が違う。時間の観念も違います。

今回はせっかくのチャンスだから、時間をうまく使うことを考えてみて下さい。それによって何倍もの時間が違ってきます。人によっていろんな考え方があります。もちろん、個性もありますから、ゆっくり考えなければダメなんだという人は、自分のペースを大事にされるといいと思います。

松下村塾から見る小集団活動の原点

さて、日本が一つになったのは明治維新でそれまでは別々の国です。別々の国ですから、方言もあり多少会話も違うが言葉は通じる。この言葉が通じることが、皆、即座に議論することが出来ます。これが高度成長に繋がります。グループが集まって小集団活動を行います。 

戦後、SONYやホンダなど当時小さな会社が伸びました。その時、指導者も管理職も居ません。「上司がいた」「教育体系が整っているから伸びる」のではない。集まって、皆で議論をするから伸びるのです。お手元には、私が著した『松下村塾』の本が置いてあります。

松下村塾にいた高杉晋作は侍の子です。だから藩校に行けるのです。伊藤博文はもともと農民の子供です。親子連れで養子に入り、足軽となったのです。足軽になっても侍以下です。戦いになったらば、真っ先に前に出て、打たれて死ぬ役目です。山形有朋も足軽の子です。だから、武士ではない。その高杉晋作と伊藤博文が初めてテーブルを並べることが出来たのが、松下村塾です。先生は一段高いところにはいない。一緒に入って、そして、「僕と君」と言う言葉を使った。それがのちに日本の教育制度に大きな影響を与えたと思います。

さて、私は13年間、大学で教鞭を執りました。学生をインターシップということで、いろいろなところに出します。どんどん学生が変わって来ています。最近どうですかと企業の担当者に聞くと、質問に来なくなりました、と言われました。質問に対しても手が挙がらない。若者が学ぼうとする感じがなくなってきている。もっと質問が出て来てもいいはずです。

1868年、日本国が出来ました。それまでは、国と言えば藩です。我々の年代だと、お国はどちらですが、と言う聞き方をします。1870年ヨーロッパの大きな国が独立して日本と同じ一つの国になりました。イタリアが一つになりました。1871年、ドイツが一つになりました。それまではそれぞれ別々の国々です。それまでは、イギリスやスペインなどが世界を分割していました。資源も抑えられている。占領されている。これが後の第二次世界大戦の大きな要因になったと思います。戦後、拒否権を持っている国連の常任理事国は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国で全て戦勝国です。日本とドイツがどんなに産業で伸びてもそこには入れない。歴史とはそういうものです。そんなに善意で出来ているわけではない。そして、アメリカが風邪をひくと世界中が騒めきます。

日本が戦争して、最初にロシアに勝ちました。日露戦争です。当時、アジア人は白人には絶対負けると思っていました。そんな中、日本が勝利を得ました。インドの独立に貢献した人物にネールと言う人がいます。ネールは長い間、牢屋に入っておりました。その時、牢屋から娘に宛てた手紙の中で、「日本がロシアに勝って君はどんなに喜んだか覚えているだろう」と言う内容でした。その後、ネールが首相になった時に、日本に象を送ってくれました。この象は上野動物園に来ましたが、その像の名前はインディラ、娘の名前を付けました。

マレーシアでは、今度の首相選にマハティール氏が立候補すると言われています。そのマハティ―ル氏が言ったスローガンは、Look East、東を見習えです。東とは日本の事です。あれだけ資源のない国が立ち上がって、アジアのチャンピオンになっているではないか。戦前、インドネシアはオランダ、マレーシアはイギリス、ベトナムはフランスです。

グルーバルな視野で日本を見つめるには

今回のテーマは「グルーバルな視野で日本を見つめ、自分の役割を創ろう」です。船内においては殆ど日本人は居ません。時間を見つけ、船内を歩いてみて下さい。そこは、世界の一握りの裕福な人の集まりです。世界の大部分は食うか食われるかの人間達です。

船は3000人の街が動いているようなものです。ワーク&スタディバランスです。部屋の中で籠って勉強していたのであれば、それは国内と同じです。船内をウロウロして下さい。

船は迷いやすいです。船内は分割していないと、船に穴が開いた時にそこに止まるように出来ています。小さい部屋に小刻みになっています。抜けられると思ってもそうは行かない。

企業とは経営理念を持ちます。その志がうまくいかないと失敗をします。経営資源は、ヒト、モノ、カネです。これは経営学の基本です。モノとは、技術だったり、建物だったり、土地であったりします。この分野が伸びていったらいいというところに、人を投資します。ところが人には個性がありますから、そっちの方に行きたくない。東芝にしろシャープにしろ、大きな会社が簡単には潰れない。しかし、事業部は簡単になくなります。テレビを持っていた会社、今、どんどんと引いています。そしたら、テレビ事業部でやっとここで20年働いて次のポスト行きたいと思ってみても、それでおしまいとなってしまいます。しかし、首にはならないです。事業構造の事をストラクチャリングと言います。ストラクチャ、それをやり直すからリストラクチャリング。リストラそのものは経営戦略を変えたことを言います。首をすることが、リストラではありません。そのあとに人事制度、給料制度が続いて来ます。

EUがやっぱりアメリカに左右されたくはない。ということで纏まったと思います。EUを作った人は、フランス人で母親は日本人です。だから、EUは我々の同じ血を分けた人達が作ったのです。リーマンショックの時、アジアの国で潰れかかった国がありました。経済が大混乱でした。今、株も乱高下を繰り返しています。株が下落すると会社の持っている資産も減ります。また、金融界も大変です。どこに影響が出てくるかを考えてみて下さい。

今、皆さんに一番落ちているのは、創造力です。情報はどこかに行けばくれるだろうと思っていますが、それは努力すれば出来ますが、推測力は急には身に付きません。これは毎日の演習から得られるものです。

アメリカだけで世界を動かしたくはない。しかし、イギリスはアメリカに付いていかねばならない国です。東部13州でアメリカが独立しました。真ん中はフランスでした。その後、ルイ王朝が1878年に革命が起こり潰れます。その後、ナポレオンが出て来ます。大混乱している最中にアメリカが取ってしまいました。それから見るとカナダは国の言葉は英語とフランス語です。アメリカからカナダに移って来る人もいます。アメリカは人種差別の国です。トランプ大統領が特別、変わっているわけではありません。もともとアメリカにはそういう要素があったわけです。やっぱり、白人はエリートなのです。

  歴史から学ぶ

さて、地政学から考えるお話を致します。歴史が大事なのは、過去があって今があります。突然今があるわけではありません。過去から今来たことを考えると、100%とは言いませんが相当見えて来ます。これが類推力です。これを知っていないと、何か突然起こった気がします。歴史上、人間がやっているので突然起こることはない。過去の自分が居て、今の自分が居ます。今をしっかりと掴めばわかる。これからどうなるか、どうしたならばいいか、相当わかるはずです。「どういう自分を育てますか」と言う意味です。これが大きな洋上研修のテーマとなります。

さて北朝鮮が貧しいと言われながら強いの考えて見たことがありますか。原子力爆弾を持つには相当の基礎学力・基礎知識が必要です。かつて日本は満州を取りました。そこで産業を興しました。

北朝鮮は満州重工業地帯の隣でした。日本は南満州鉄道を敷設し、その沿線を開拓し、大重工業地帯となりました。1980年以降、韓国がGDPでは北を逆転した、そんな昔の話ではありません。昔は北の方がお金持ちでした。1989年、ソビエト崩壊で東欧諸国がバラバラになりました。力がなくなって来た。購買力が無くなってきたから、北朝鮮の製品を売り先が無くなってしまい、今は中国だけが相手になっています。それまでは、ソ連圏、共産圏で売り買いしていましたから順調に行っていた。工業地帯のルーツは製鉄業、化学工業、電力もありました。それを利用しての工業も進んで行きました。向こうから来た有名な会社では、旭化成や積水化学、信越化学、日本チッソなどです。それが、日本が引き上げたならば全て残ります。設備は古くなりましたが、技術は伝わってます。そっくり置いてきたわけです。北朝鮮の歴史を見ると侮れないことが分かります。基礎はあるんです。

ライフキャリヤレインボーと言うアメリカの学者が著した社会構造の図があります。我々の中にはどうしても仕事中心となるけども、家庭も大事、地域も大事、そのバランスを取りましょうということです。ワークライフバランスの基本はこれです。余暇を楽しくやろうだけではない。そうしないと、トータルとしての人間性が出てこない。

アメリカのトップクラスの人達はもの凄く教養が広い。古河電工時代、USインダストリー社との打ち合わせの時、向こうからは副社長一人で来ました。古河電工側は、技術のわかる人、マーケットのわかる人、技術契約のわかる人と日本の場合は分業しています。アメリカの少数のエリートは、色々なことを知ってます。すごく勉強しています。アメリカは定年は法律では禁止されていますので、優勝な人は何歳でも雇いなさい、となっています。但し、修身雇用ではありませんので、能力のない人は即、切られてしまいます。日本は出来ようと出来まいと、ある年齢に来ると、辞めさせられます。

リッカートンの連結ピンの法則と言うのがあります。リッカートンはひとつの組織は小集団の固まりである。としています。部長がいて3人課長がいる。その下にそれぞれ3人部下がいてその部下の下に3人部下がいる。連結ピンとしてその間の人が繋がりを持たなければならない。ここで同時にその人はヨコの関係もタテの関係もやらなければいけなくなります。これが洋上研修の最初のコンセプトです。基本の考え方です。我々は縦社会で生活しがちですが、縦と横を合わせることで、両方出来る。人間はもっと能力がありますから、上だけの話を聞いて動くのではない。

こんなジョークがあります。ある船が難破し、絶海の孤島に辿り着きました。アラブ人ならば、目には目をの習慣から、お互いに戦いを始め、美女を獲得しました。アメリカ人ならばどうだろう。アメリカは成果主義の社会なので、この島を耕し、より成果を出した者が彼女を手にするであろう。日本人ならばどうだろう。急いで本社に電話して、上司に指示を求めるだろう。日本人はそういう習慣になっているということです。

リーダーに必要な4つの役割

役割には4つあります。指示された役割。これは当然わかります。指示はされてはいないが、この程度はやってくれるだろうと期待される役割。アメリカではジョブディスクルージョンと言う役割が決まっていて、この仕事の決済はこの人に受けて下さい、情報をこう流して下さい、この人のアドバイスを受けて下さい、などその通りやっているかどうかで評価されるから、簡単に転勤しても大丈夫です。日本ではその場の雰囲気を見て、様子を見て自分の役割を決めていきます。

アメリカでは、他の会社に移っても大丈夫なのは、この制度があるからです。期待されている役割をどんどんやって行くと、なかなかやるね、と評価されます。野球で言うと、ライトはこの範囲、レフトはこの範囲と決まっていても、左バッターの王選手みたいのが出てきたらたらば、一斉に皆、自発的に右寄りに廻ることは期待されることです。

次に創造する役割は、上司は期待をしてはいないけれども、作り出す役割。だから相手にある打者が出ていたならば、全体に一斉に動いたり、前に出たり、後ろに出たりすることをお互いに創り出していくことです。まさにサッカーなど野球とは違って、決まってないから相手がどう打って来るかを考えながら、動かしていくものです。

組織風土の改革の役割は組織全体を変えていかなければいけないことです。

船の中で出会ったならば、中断しないで、終わりまで人の話を聴く。職場だと、何かを話している最中、上司がそれは違うだろう、話を遮る場合がある。これは知恵が集まりません。傾聴はその人がその中で伸びていくには、とても大切なことです。かつて職場で誰かが言うと、それに反論し言いまくる者がいました。9割は確かに正しい反論でした。若いころはいいです。しかし、上がるにつれて下の連中は物を言わなくなってしまい、ハイハイと聞くだけです。実際にモノを知っているのは現場の人です。皆様方です。その人たちの意見を吸い上げないと大きな判断を間違えることが出て来ます。

傾聴を行っていれば、彼等達も違っていたと思います。そういう事を船の中でも考えていきたいと思います。

心理学では「準拠枠」と言う言葉があります。準拠枠とは、育った人は自分の関心、経験、価値観、感情、思考などそういうものは、自分の育った環境で考えるから、わかったつもりでいるけれど決め付けをしない、と言うことです。聞いてみてなるほどと思う事が沢山あるかともいます。聞くということは大事なことです。

状況対応リーダーシップというものがあります。部下の状況ですが、能力高く、意欲も高い部下にはかなり任せて良いのではないか。逆に能力が低く、意欲も低い部下は具体的に指示して教えていく。そのことによってだんだん伸びていく。これは誰でもわかっているのだけれども、ついつい上司は、「あれぐらいのことはやった」と思いがちになって、一律にやる傾向があるから、皆さんが若い人を指導する時は注意を要します。

次に課題設定が大事です。ナゼを5回繰り返すことが出来るか。これはトヨタ生産方式を作られた大野耐一氏が纏められたビジネス指導です。本当の問題は何かということを、5回のナゼを問い直すことでわかって来るということです。機械が動かなくなった。それではヒューズを変えれば良いだけの問題ではない。潤滑油を付けていない。何故潤滑油を付けてないのか。等々取上げていくと、だんだんと本当の問題が解って来ます。これも推測力です。

皆さんは相当の知識を持ってます。持ってますがその知識だけに反応してますとほとんど役に立たない。

経済界はコミュニケーション能力を重視

2017年度 新卒採用アンケートによると、経済界が選考時に重視する要素のトップは、コミュニケーション能力です。コミュニケーション能力と言うのは、出来る部下とは立て板に水のごとく話が旨い事ではありません。相手と話して、相手が本当に何を困っているかをちゃんと掴んで、そして一緒になって考え、解決をする共有関係が出来ているかどうかです。これが問題だという事を共通に持っていて、それに向けて議論できる共有関係です。

相手が困っていることをちゃんと聞いて、相手が言っていることと、言っていないが本当は困っていることを掴んで挙げて、それには質問もいる、要約も要る、うなずきも要る。面と向かって話をするということです。そういう事で問題を掴んで、一緒に解決することが、これがカウンセリングの基本です。

我々の生活の中には、3つの大きな決めなければならないことがあります。ひとつは毎日の課題をやって行くことです。これは、先輩の申し送りもありますし、ルールもありますから、何とか出来ます。二つ目は、改善です。今年は毎日9時まで会社にいないと片付かなかったが、来年は7時30分ぐらいにはやりたいと改善をする。改善をする事と仕事をする事を同時に頭の中で行うことは難しいです。だけども、改善をすると、次の年7時30分に帰るという目標を持ってやって行くと、7時30分に帰れるようになる。そうすると時間が出来る。その時間でいろいろと考えることが出来る。三つ目は自分のこれからの人生をどう考えたらばいいかと言う事を併せて考えることが大事です。キャリアプランを作ることです。出世した多くの知人は、高速列車のごとく、突き進んできました。しかし、定年と言う駅があります。

企業が求めている能力は問題発見能力と職務遂行能力、対人能力は傾聴する力が大事です。そして問題解決能力です。

ワークライフ&スタディバランスと言うのがあります。「私」と言う者がいて、ブレーンを作ります。自分の部下を作る。架空の者です。最初にニュース情報部を置きます。

ここに池上彰氏と爆笑問題の2人を私の部下にしています。面識はありません。テレビでそれぞれ出ている番組を録画して、それを休日全て見る。大事なことは、テレビの前にノートを持って行って書く。次の日、書いた部分に赤線を引っぱる。そうしたら頭に残ります。そうしなければ、聞き流したならばそれで終わりです。

最後に

船ではチャレンジ精神、一歩踏み出してください。サラリーマンの壁を破る。機会遭遇理論と言うことがあります。めったにないことに遭ったらその機会を捕まえて自分が変わることです。この洋上研修は9日間のわずかな期間ですが、こういうチャンスはめったにありません。チャンスを捕まえて自分が変わることです。

Planned Happenstance Theoryとは直訳すれば、予定された偶然の意味です。何かをしたことが後々影響してくると言うことです。

この研修では、いろいろな経験をされると思いますが、たくさんのことを言いましたけど、船も楽しむ、現地も楽しむ、そして勉強の時間は決めて、あとはお互いに、人生論について語り合ったりして頂きたいと思います。

古河電気工業㈱人事部長、常務取締役、古河物流㈱社長を経て、古河電気工業㈱顧問。一方、豊富な職業経験を基に、わが国のキャリアカウンセリングの第一人者として、神奈川大学経営学部教授、法政大学キャリアデザイン学部教授、同大学大学院経営学研究科教授、日本産業カウンセリング学会会長、中央教育審議会、大学設置・学校法人審議会委員(文部科学省)、経済審議会特別委員(内閣府)、日本経団連教育問題委員会委員等の要職を歴任。また、第1回日経青洋上研修の運営委員長(1972年2月)、ユネスコ世界青年会議日本委員産業界代表(イギリスマンチェスター大学)としても参加する。

現在、厚生労働省キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会(座長)、人材育成学会理事、日本産業カウンセリング学会特別顧問、キャリアコンサルティング協議会顧問を務める。著書に『人材育成の進め方』『人事マン入門』日経文庫、『吉田松陰 松下村塾人の育て方』あさ出版等。